教員のなり手不足は深刻です。文部科学省も改正法を成立させて待遇改善に努力されていますが、やや方向が違う案が中央教育審議会の教員養成部会から出ています。教員免許状を取得する際、「憲法」「体育」「外国語」「情報機器の操作」等は必修ですが、これらを廃止を含む見直し案が審議の中で出ていると報道されました。

私ども全国体育スポーツ系大学協議会は、早速、文部科学大臣をはじめ文科省の関係幹部に上記4科目を引き続き必修とすること、とりわけ「体育」の必修継続を強く要望致しました。私どものこの組織は、体育・スポーツ・健康等を基軸に教育をする大学が集うため、情報収集をはじめ役立つ行動を躊躇(ちゅうちょ)せず実行する団体でもあります。身体文化を大切にし、国民を幸福に導く一手段として、加盟大学が力を合わせて行動しております。

 また、日本私立大学団体連合会は、大学関係政府予算に関する要望として、「スポーツの振興に資する取り組みへの支援」を訴えました。大学資源の活用並びに人材育成に係る取り組みへの支援の拡充・強化を要請し、学生アスリートの支援や地域社会におけるスポーツの拠点として大学が担っている様々な取り組みへの支援が必要だと考えています。文科省を通じて、私たち組織の声が反映されるよう努力中です。

 100歳まで生きる時代を迎えました。政府は、そのための政策を打ち出し、国民に元気に活躍して欲しいと願いつつ、医療費の支出削減を目指し、そこで、平均寿命に健康寿命を近づけるべく、策をめぐらせています。

 東京オリンピック・パラリンピックのレガシーは、一に健康寿命の延伸と共生社会の構築であります。先進国家として、他国のモデルになる社会を作り、人類社会初の長寿健康の国民が住む日本にする必要があります。

 「スポーツ基本法」が制定され、「する」「みる」「ささえる」を三本柱とするスポーツ社会を建設し、健康寿命の延伸の糧とすべき時代に突入しています。『健康』が重要なキーワードとなり、長寿高齢化時代の到来に対応すべく、全国に体育学部、スポーツ科学部等や、同様の学科およびコースを設置する大学が飛躍的に増加しました。

 そこで、各大学が連携をとり、情報を交換したり、共同研究をしたり、相互の協力が求められるようになりました。一般社団法人全国体育スポーツ系大学協議会は、かかる分野の発展を促進させる目的をもって結成され、主要な53大学が加盟する団体です。

 独自のスポーツ・トレーナー資格を加盟大学の学生に授与し、また、大学スポーツ協会について研究するにとどまらず、その先導的役割をはたす組織でもあり、今後さらにスポーツ界発展、スポーツ文化の振興、健康寿命の延伸・研究等に貢献できるよう多彩なプログラムを準備中です。

 各大学がそれぞれの特徴ある研究・教育に取り組まれ、体育・スポーツ分野の進化にともなって互いに刺激を受けながら、組織力を背景に文科省やスポーツ庁と共同歩調をとりつつ、有為な人材育成のために協力する団体となっています。

 加盟する各大学の問題点や特色は、どの大学にとっても参考になります。横断的なつながりをさらに強化して、加盟していない大学にもぜひ、加盟していただきたいと願っております。学生たちの利益のために多様なプログラムを提供させていただき、魅力的な組織にしたいと努力中です。

 各大学が情報を交換したり、工夫したりして学生のためになる方法が求められています。本協議会は、相互理解を深め、わが国の身体文化を支えて参ります。

一般社団法人 全国体育スポーツ系大学協議会 会長 松浪健四郎